第6話HEADLINE
「あなたはそれでも打ちますか?」
先月こんなことがありました。
いつもお越しいただいている80代前半の女性の方に起きたお話です。
仮にEさんとしておきましょう。
Eさんとはもう15年以上のお付き合いですが、最近は右肩の施術を重点的に行っていました。
包丁3本を頑張って研いじゃったのが引き金になったようです。
術後は楽になって帰られて、調子がいいからといって、また庭仕事や片付け仕事などで同じところを痛めてしまうということを繰り返していました。
先月のある日、「実はこの間、骨が折れたかと思うくらい痛くなっちゃって」とご報告されました。
夜、テレビでフィギュアスケートの試合を観ていたら、突然右肩が痛くなり出して全く動かせなくなったというのです。
これはいつもと違うと思ったEさんは機転を利かせて、腕をさらしで体に固定して安静にしていたということでした。
翌日、家にあった湿布薬を貼って様子を見ているうちに、徐々に痛みが薄らいでいったみたいです。
Eさんは「中国の審判があまりに偏ってるもんで、中国の悪口いっぱい言ってやったからバチが当たったのかと思ったわ」と冗談を言っていました。
それにしても変です。
Eさんの症状はだいぶ安定してきていました。
ぶつけたり、何かハードなことでもしないと急に激痛に見舞われることなど考えにくかったのです。
そこで「何か特別なことはしませんでしたか?」と尋ねました。
Eさんは「その日は特に腕に負担をかけるようなことは何もしていない」とおっしゃりました。
が、「ただ、その日の午後にインフルエンザの予防接種を受けて来た」ということでした。
もちろん、痛めていない左腕に打ってもらったとのことですが、ワクチンは血液に乗って全身を巡りますから、その副作用として、肩の炎症が一時的に強くなったという可能性はゼロとは言えないな、と私は思いました。
そんなことがあった数日後、家族で私の母の処に訪問した時のことです。
母は開口一番、「この間おばあちゃん、救急車に乗ったんやで」と息子に話しているのです。
そんなことは初耳だった私は、誰かの付き添いで乗ったのか、自分が運ばれたのかどっちなんだろうと一瞬思いましたが、どうやら自分が乗るために自分で呼んだようなのです。
結局、何だったのか確かめてみると、「気分が悪くなって、立っていられなくなり、これはいつもと違ってマズイと思ったので119番した」ということでした。
運ばれている間中も嘔吐が続いたそうです。
そして、その数時間前にインフルエンザの予防接種を受けて来た……と。
ちょうどその頃、母里啓子さんの『ワクチンはもうやめなさい』という本を読んでいた私は、「えらくタイムリーだなあ」とEさんと母の身に起こった出来事をリンクさせて考えてみるのでした。
もちろん、この二つのケースについて、インフルエンザワクチンとの確かな因果関係を証明することなど出来ません。
それでも、全く影響がなかったとも言い切れないのではないかと思います。
この本では、ウイルス学の研究者であった著者が、行き過ぎたワクチン産業に警鐘を鳴らしているのですが、読むとワクチンを打つのが怖くなるでしょう。
子を持つ親としては頭を悩ます問題です。
小さい頃から、「こんなに打つのか」というくらい頻繁に予防接種を求められるのを見ているからです。
このように、常識とされていることを否定する情報を得ることで、現代医療に対する不安を抱いたりすることはよくあります。
今は、誰でも手軽に様々な媒体から、健康に関する情報を入手することが出来る時代です。
この本も、いわゆる「医療否定本」と言われる部類に属することでしょう。
そして、医療否定本をさらに否定するものが出版されていたりして、読む側としては一体どちらの主張が正しいのか迷わされることになります。
どちらも専門家と称する方々が執筆しているのですから、専門家でないわれわれが混乱するのも無理はありません。
ですから、色々な立場の人が書いたものを複数読んでみるというのは、一つの対応策だと言えるでしょう。
また、とりあえず一度試してみて、自分に合うかどうか、効果が出るかどうかを判断の基準にするのもいいかもしれません。
ただ、ワクチンは体内に直に注入するので、他の健康法を気軽に試してみるのと違って、「とりあえず、いっちょ打っとくかっ!」という訳にはいかないのが困るところですが…。
多くの情報が溢れていて判断に迷うこともあるとは思いますが、病院も薬も上手に活用していただきたいと思います。
私もどちらかと言うと、病院や薬はあまり好きではありません。
でも、虫歯はもうこりごりなので、歯医者さんには定期的なメンテナンスに通っています。
自己治癒力だけで風邪を完治させるには結構時間がかかってしまうので、早めの服薬を心掛けたりします。
湿疹が出て、自己判断で市販の薬を塗ってはさらに悪化させ、皮膚科に駆け込むことだってあります。
とんでもないことになった皮膚が、日に日に良くなるにつれ、現代医療のありがたさをしみじみと噛み締めたりすることになるのです。
また、病院や薬と同じように、私のような整体師も上手に活用していただけたらなと思います。
日々の生活を快適に過ごしていくには、いかに疲れを溜め込まないか、いかに疲れにくい体であり続けられるかということがポイントになってきます。
歯と同様に体全体もメンテナンスが重要です。
もうすぐ、新年を迎えます。
私も「疲れにくいカラダを手に入れよう!」を新たなキャッチフレーズとして、皆さまに良い技術や情報を提供していければいいなと考えています。
(2014年12月29日)
「健康のヒント」目次へ